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意気に感ず

ダルビッシュが5勝目をあげた。それも降雨による2時間の中断を挟

 んで。なかなか出来ない事だ。

2時間も中断すれば、もう一度集中力を高めて行く事は容易ではない

 。身体も冷えてしまうから、もう一度ウォーミングアップから

やり直さなければならない。それを考えただけでも大変だ。

 さらにレンジャーズは前日ダブルヘッダーを行い、深夜にテキサス

に帰ってきた。皆、疲労困憊である。

 メジャーリーグは年間160試合をこなさなければならない。

しかも日本の様に引き分けは無い。必ず勝負がつくまで試合を続け

 るので、時には深夜に及ぶ事もある。日本より過酷なその環境で

勝ち続けるためには、選手一人一人が自分の責任を果たす事がより

 強く求められる。

投手のローテーションがしっかりしていなければ、勝ち続ける事は

 出来ない。ましてレンジャーズは、2年続きでワールドシリーズの

優勝を逃し、今年こそはーーとチーム全体に期するものがあるのだろ

 う。ダルビッシュもそれは肌に感じている。

また、チームメイトが疲れきっているのに自分だけ、中断だからと

 続けての登板を回避するわけにはいかないーーという気持ちも

あったのかもしれない。

 そういう数々の思いが、彼を続投志願という決断に進ませたの

だろう。

 対照的に、対戦相手の先発はウイルソンで、昨年まではレンジャ

ーズのエースだった投手である。彼は続投を回避した。

 1死満塁での降板だから、調子も悪かったのだろう。

そのまま続投すれば、負け投手になる可能性も高いし、2時間もの

 中断が入れば、集中力の継続が出来ないーーと言って降板する、

立派な理由になる。だから彼は降板を選んだ。

 球団を去った元エースが降雨中断を理由に続投を回避し、

新しく入団したばかりの新人が降雨中断をものともせず、続投した

 としたら、チームメイトはどう思うだろうか?

たとえダルビッシュが負けたとしても、意気に感じて続投した彼に

 絶大な信頼を寄せるだろう。

チームの主砲ハミルトンの「彼(ダルビッシュ)を誇りに思う。」

 という発言が、チームメイトみんなの言葉を代弁している。

ダルビッシュのより優れている所は「中断したのだから、少し調子

 が悪くてもしょうがない。出来るだけアウトを取ろう。」と

考えた事だろう。

 「チームメイトが疲れているから、俺一人で相手を抑え込んでや

ろう!」と力まなかった事である。

 このままの成績が続けば、恐らく彼は来年レンジャーズのエース

格になるだろう。


 
by tramasato | 2012-05-13 21:56


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