子どもとコミュニケーション

Y君は3歳。3か月に一回、予防歯科のフッ素塗布で通院している。非常に活発な男の子で

 じっとしている事が出来ない。検査やフッ素塗布の間も動き回るので、なかなかスムーズには

処置も進まない。前回もスタッフがシーラント(虫歯の予防処置として、歯の表面の溝の部分を埋

 めること。)の処置中に、顔を動かせて時間がかかっている様子だったので、彼の顔を軽く手で

支えて、スタッフの処置の補助をした。

 彼は3か月ぶりに来院して緊張していたのか、機嫌が悪かった。私は軽く顔を支えたつもりだっ

たが、そこは大人の力だから、彼は「痛い。」と感じたらしい。子どもは細胞の働きが活発だから

 常に動いている。動きを抑えられる事を極度に嫌がる。そこでY君も前回の事が心に残ってい

て思い出したらしい。ユニットに座っていて、私が近づくとすぐに「先生、今日は痛いことしないで

 ね!」と話しかけてきた。私は「じゃあY君、今日はあまり動かないでね。あまり動かなかったら

、すぐ終わるよ!」と、微笑みながら答えた。すると彼は「うん!」と答えて素直にユニットの上に

横になった。その日は機嫌が良かったのか、スムーズに処置も進んだ。

 ユニットに横たわりながら盛んに私に話しかけてきた。

帰り際、待合室のドアの向こうから「歯医者の先生!歯医者の先生!」と彼が何度も呼びかけて

 来るので、他の患者さんもユニットにすでについていたのだが、ドアの所に行った。

すると、彼は可愛らしい右手を出して「先生、今度も痛くしないでね!」と言って指切りして約束

 してくれ。--というのである。私もおずおずと指を出すと、彼は「先生、指切りはこうやってする

んだよ!」と教えてくれた。私は、「今日はよく頑張ったね。!また来てね。」と言うと、彼は上機嫌

 で帰っていった。

子どもは、見知らぬ人に対して警戒心が強いが、また好奇心も旺盛である。一旦、警戒心を解く

 と興味を持って接近してくる。彼らなりにコミュニケーションを取ろうとしてくる。

Y君はY君なりに、怖いと思っていた私とコミュニケーションを取ろうとしていたに違いない。

 そういう彼を見ていて、とても可愛らしく、また愛おしく感じた。
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by tramasato | 2013-03-17 15:28


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