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ユトリロ

  今日、道立美術館の「モーリス・ユトリロ展」に行き、ユトリロの作品集を買ってきました。

 最初に、美術館に行ったときは、作品を見て、次は彼の作品の写真を一枚買い、今回は作品

 集を購入したわけです。

  何故、3回も行ったのかといえば、中学時代に彼の作品を美術の教科書で初めて見て、何

 か心惹かれるものを感じ、それ以来本物の絵を見たいとずっと思っていたからでした。残念

 ながら、3回入場するほどの余裕もなかったので、診療室にでも飾ろうと彼の絵の写真を一枚

 、作品集も買ったのでした。

   最初に、作品を見に行き、見終わった後、心やすらぐ様な気持ちになりました。いま流行り

 の言葉で言えば「癒される」という事なのでしょうか。

   「やはり、それが芸術なんだなあ!」と思いました。

   私は、絵を描く趣味もありませんし、絵の巧拙というものもわかりませんが、彼の絵を

  見終わった後に、何かしらほっとしたものを感じたとすれば、作品を通して彼が伝えたかった

  事が私にも伝わったということではないでしょうか。

   彼は、絵のモデルでもあり、画家でもあった母親から私生児として生まれました。彼の父

  親は未だに誰ともわかっていません。母親はロートレックなど、著名な画家たちとも付き合い

  があったそうです。

    中学の頃、母親から遠ざけられ郊外に祖母と一緒に住むようになってからワインの味を

  覚え、アルコール依存症になったそうです。そのアルコール依存症の治療の為に医師に

  勧められて絵を描くようになりました。その絵が彼を世界的な画家にしたのですから、運命

  とは皮肉なものです。

     アルコール依存症の治療で入退院をくりかえした時期は白の時代と言われ、彼の作品

  の中では傑作が多いということです。その時代の作品は、絵の具の中に壁土などを混ぜて

  使っており、独特の暗い色調が特徴です。ですが、その時代の作品の方が先ほども言った

  ように、心惹かれるものを感じます。専門家によれば、彼はその作品の中に自分の将来に

  対する希望を描いているそうで、それは「母親と一緒に暮らす事。」だったのかもしれません

  。その希望が我々の心に伝わってくるのでしょう。

    芸術に接することも、わたし達の心を和ませてくれますね。


  
by tramasato | 2007-10-13 22:44


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