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  プラシーボ

       プラシーボ、いわゆる偽薬の事である。

    我々は、風邪になったら医師の所へ行って薬をもらっている。

    そして薬を何日か飲んだら、あるいは注射をしてもらったら、不思議と風邪は治っている。

      そしてそれを、我々は医師の処方してくれた薬のお陰だと思っている。

     ところが、その薬がただの澱粉だったらどうだろうか?

    医師が 「これは風邪薬ですから、毎食後30分以内に飲んで下さい。」と言って

    この澱粉を患者に渡しても、患者が信じて飲めば風邪薬として十分に効果を発揮する。

      これが「プラシーボ(偽薬)効果」である。

     実際にプラシーボについては、いろいろな研究が成されてきて、医師もプラシーボに

    ついては 無視できないのが現状である。

      ① モルヒネ中毒患者たちにプラシーボ(生理食塩水注射)を施したところ、その注射を

         中止するまでの間、禁断症状が起こらなかったとの報告がある。

      ② ある患者の集団に抗ヒスタミン剤のかわりにプラシーボを与えたところ、その

         77.4%は抗ヒスタミン剤の特徴である眠気を訴えた。

      など、枚挙にいとまのない事例が報告されている。

      では、プラシーボが効果を発揮する為には何が必要か?

       それは、医師と患者の間の強い信頼関係である。

       これが無いと、プラシーボは十分な働きをしない。

       逆にこれがあれば、薬の内容にかかわらず効果を発揮する可能性が高い。

        人間には自然治癒能力というものがあるから 「薬を与えられた!」という刺激だけで

       治癒に向かってしまうものらしい。

       古代から伝わる、魔術や占い、訳のわからない民間療法なども人間の自然治癒能力を

        利用したプラシーボ療法といえるかもしれない。

         先日、私は 「めまい」 がして近所の内科の先生にみてもらった。

        先生は「この薬を飲んで下さい。すこしずつ良くなって来ると思います。」

         と言って白い錠剤をくれた。

          確かに数か月で回復していったが、「めまい」の状態がひどい時にはその薬を飲ん

        でも、あまり効果は無い様だった。

          いま考えると、あれはプラシーボだったのかもしれない。

         そして私は自然治癒で治ったのだろうか?

         

     
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by tramasato | 2009-06-27 11:52

  もてなしの心

      最近よく行く喫茶店がある。

    馴染みの喫茶店が閉店してしまい 「何所か、いい喫茶店は無いか?」と探していたところ、

     あるデパートの中で見つけた。

    そのデパートの中には他に2~3店の同業があるが、どの店も落ち着かなかった。

     私の見つけたその店は紅茶専門店であるが、コーヒーも置いている。

    試しにコーヒーを飲んでみたが、結構飲みやすかった。

     その店で紅茶を飲んでいると不思議と落ち着いた気持ちになる。

    一番の理由は、店主の客に対する丁寧な応対だろうと思う。

     言葉づかいや接客態度にも、それは現れている。

    しかし、言葉づかいなら他の店も丁寧な店は沢山ある。

     自分が落ち着いて紅茶を飲めるという事は、何か原因があるのではないか?

    と考えて、店主に紅茶の淹れ方について質問してみた。

     質問は 「紅茶を美味しく淹れるには?」という単純なものだったが、

    彼女はとても張り切って答えてくれた。いつもの応対とは違い情熱的に、しかも嬉しそうに答

     える彼女の姿を見て、私には 「紅茶の良さを、是非このお客さんにも知ってもらいたい。」

    という意気込みが伝わって来る。

     「ああ、ここがちがうんだなあ!」と私は思った。

    彼女には 「自分が美味しい紅茶を淹れてお客様をもてなそう!」という強い気持ちがある

     のだ。そういう気持ちが客にも伝わってくるから、落ち着いて紅茶やコーヒーも飲めるの

    だろう。

    ともすれば利益優先で、客に対する応対もマニュアル的だったり、上滑りだったりする店が

     多い中で、この店が違うと感じたのは其処だったのである。

    彼女はきっと紅茶がとても好きなんだろう。紅茶の良さを、店を訪れるお客さんにもっと知って

     もらいたいーーと思っているのだろう。

     翻って、私の歯科医院はどうであろうか?

    患者さんに、落ち着いて治療が受けられる様な充分な配慮をしているだろうか?

     考えてみる必要はある。



     

    

     

  
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by tramasato | 2009-06-20 08:36

  患者様とは

     昨今、いろいろな医療機関で患者の事を 「患者様」と呼ぶ所が増えている。

   いつから、そういう風になったのか分らないが、医療過誤による訴訟が頻発する世相を反映し

   ているのかもしれない。

     私の医院では、普通に 「患者さん」と呼んでいる。

     私は、医者と患者は友人同士の様な関係が一番良いのではないかと思う。

    どちらが上で、どちらが下という事はない。同じ人間同士の関係の筈である。

     むかしの医者には、確かに偉そうに患者に接する人も多くいた。

     私自身もそういう医者に診察してもらった後に、症状に関する質問をして 「そんなくだらな

     い事を聞くな!私の指示に従っていればいいんだ!」という風に怒られたことがある。

      私は、何故怒られたのか解らなかったが、昔気質の医者ならよくあることだった。

      「俺はお前より知識があって、医学をよく知っているんだから、素人のお前なんかが質問

      する方がおかしい!黙って俺の言う事を聞け!」ということなんだろう。

      今は昔に比べ医者の数も増え、マスコミは好んで医者の失敗を広く報道する様になった

      から、むかし程、医者の権威は無い。

      それにしても「患者様」とは、おかしな言い方ではないのか?

       確かに、医療は形ある物を生産しているわけではないので、サービス業に入るで

       あろう。医療機関も山ほどあるので、患者を少なくしたくないーーという気持ちは

       分かる。しかし、医療本来の姿というものを見失ってはいないだろうか?

       そもそも、病気の原因は患者自身にあるのだ。最初に医者が患者を病気にしたわけ

      ではない。

        医療が成功する為には、患者自身の自覚、努力というものが必要不可欠である。

       医者はそれに必要な指示を出し、手段を提供しているのである。

        治すのは患者自身の治癒力である。医者は患者に対するアドバイザー、あるいは

       コーチとしての立場を明確にすべきであろう。

        それが「患者様」と言うようでは、あまりに他人行儀でへりくだり過ぎではないか?

         見方によっては営利第一主義と取られかねない。

         対等の関係でいいのではないだろうか?
        

      
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by tramasato | 2009-06-13 13:18

  「ハイ」の一言

    私の歯科医院では、私がスタッフに指示を出したり、スタッフ同志で指示を出しあったりする

   場合、指示を受けた方は、必ずしっかり 「ハイ」と返事をする様に決めている。

    そうしないと、指示した方は自分の伝えようとした事が、相手に伝わっているかどうか確認

   出来ないからである。

     元々歯科の仕事は、術者が患者さんの口の中を見ながら進めて行く為に、それぞれの

    指示毎に相手の顔を確認できない事が多い。

     出血を伴う処置が多いので、止血や吸引をしながら進めなければならないからである。

    出来ればアイ・コンタクトをその都度、取れれば良いのだがーー。

     それで私は 「ハイ」という返事を必ずしてもらう事により、自分の指示が相手に伝わったか

    どうか確認するようにした。

     ところが、この 「ハイ」という返事がうまく出来ない人も多い。

     なぜなら、「ハイ」という返事をする為には自分の心の準備がしっかりと出来ていなければ

     ならないからである。

      仕事の手順や進行を考えて、次に何が起こるかを予測し、尚且つ相手に対してその全て

     を受け入れる気持ちがないと、率直に返事が出来ない。

       あるスタッフとこの 「ハイ」に関して、話をした。

      そのスタッフは、以前なかなかスムーズに 「ハイ」の返事が出来なくて、私も困っていた

     のだが、医院でコミュニケーションの勉強を4年ほど続けた結果、最近になってスムーズに

     「ハイ」と返事をするようになってきた。

        私はスタッフに、

      「以前、君がうまく「ハイ」と返事が出来なかった時に、私が『○○君、ハイと返事をして!』

      と言うと、『そう言われると、ムカッとするんです。』と言っていたけど、

       あの時、何故ムカッとしたんだろうか?」と質問してみた。

        すると彼女は 「あの時、私は院長に対してカベを作っていたんです。だから素直に

       『ハイ』という返事が出来なかったんだと思います。」と言った。

        「なるほど!」と私は思った。

         という事は、私自身も彼女に対してカベを作っていたのかもしれない。

        それにしても彼女自身、過去の自分を評価できる様になったという事実は

        紛れもなく、彼女自身の成長を示している。

         4年間の勉強の成果は十分あったのであろう。

          人間は、幾つになっても成長できる。

          諦めてはいけない。

       
      

     
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by tramasato | 2009-06-07 18:32