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カラス

            カラスは人の真似をする。

    私の近所には商店があり、そこの奥さんが旦那の事を毎日「父さん、

     父さん!」と呼んでいた。ある日私の母が表から「トウサン、トウサン!」

    と変な声が聞こえるので、窓から表を覗くと向い側の屋根の上にカラスが

     とまっていた。周りに人が見当たらないので不思議に思って見ていると

    そのカラスが「トウサン、トウサン!」と鳴いているのだった。

     奥さんが毎日「父さん、父さん!」と呼ぶのでカラスが覚えてしまったの

    である。

     あるスナックで常連の客が、もう看板なので店じまいしようとしている

    マスターに向かって「もう一杯、もう一杯!」と未練がましく

     酒を要求していた。店のドアは開け放たれていて、もう明け方近かった。

    店が閉まってその客が帰ろうとすると、上から「モウ、イッパイ!

     モウ、イッパイ!」という声が聞こえて来た。

    見ると、電線に留まっているカラスだった。

物真似をするには、対象物をよく観察してその特徴を知らなければなら

    ない。カラスは人間をよく観察している。

     屋外に放置されたゴミ袋が荒らされるのは、人がどの様なゴミを投げる

    のか、カラスが常に観察しているからだ。

     人がカラスに向かって石を投げつければ、カラスは飛んで逃げる。

    何度も繰り返すと、石を持たずに手を後ろに振り上げただけでも

     カラスは条件反射で逃げるようになる。

    カラスは人間の最も近くにいる野生動物の一種と言えるから、自然と

     人間を観察する様になったのであろう。

    



     

     
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by tramasato | 2011-07-31 19:10

酔っ払い その2

      その日も仕事が終わったあと友人と酒を飲み、いい加減 酔いが

     回ったところで帰り始めた。

      しばらく歩いていると急に前方に人影が現れ、彼の行く手を遮った。

     前に行こうとしているのに、その人影は避けようともしない。

      腹が立った彼は、その人影に向かってこう言った。

      「こんな所に黙って突っ立ちやがって、この野郎!」

      それでも影は動かない。

      「よーし。そっちがその気なら、こっちにも考えがあるぞ!」と言って

     ツカツカと、彼はその影に近づいて行った。

      手を伸ばしてみると、それは電信柱だった。

     「あれえ?電信柱か!」と彼は気づいた。

      ふと後ろをみると、一緒に歩いてきたはずの友人がいない。

     電信柱に向かって、訳の判らない事を言っている彼の恥ずかしい姿を

      見て、何処かに雲隠れしたのであった。



  

    

     
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by tramasato | 2011-07-18 21:27

    酔っ払い

           彼はダンディに飲みたかった。

      カサブランカのハンフリー・ボガードが煙草を手にしながらカクテルを

     飲んでいる様に。

    あるいは、へミングウェイがパイプを燻らせながらラムを飲むように。

     そういうカッコいい飲み方に、昔から憧れていた。

    でも、現実は厳しい。

     ボギイの真似をして、マティーニを何杯か飲み干し「じゃあ、これで」と

    カッコよく椅子から立ち上がろうとした途端、転げ落ちてしまった。

     すっかり酔いが回ってしまっていたのだ。

    ある時、友人が酒場で飲んでいる彼を見つけた。この時もかなり酔って

     半分眠っていた。

    ふと見ると、彼の座っているカウンターにはグラスが有り、グラスと

     彼の間には、小さな水たまりが出来ている。

    その水たまりの中には、煙草の吸殻が何本か落ちていた。

     つまり、こうだ。

    酔いがすっかり回ってしまった彼は、グラスの酒をうまく口に

     運べなくなって、少しずつ酒をカウンターにこぼしていた。

    それが小さな水たまりになっていたのだが、酔った彼には水たまりが

      アルミの灰皿に見えた。そこに吸殻を捨てたのだった。

     酔っぱらった彼は、通りを走っているタクシーにに向かって

      突然走りだす。

    タクシーに轢かれる寸前でくるっとUターンして、ケンケンしながら

      戻ってくる。それを何回か繰り返す。

    そのうちタクシーの運転手に「バカヤロー!」と怒鳴られる。

     これが、カッコいい飲み方なのだろうか?。

      懲りずに彼は、今日もカッコいい飲み方を追求している。


     
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by tramasato | 2011-07-13 14:46

        ヘルニア

       先週、トレーニングを終えて着替えをしていると、下腹の左側に妙な

     膨らみがあるのに気づいた。それまで全く気付かなかったのだが、下腹が左右

      非対称なのである。

     膨らみを触ると柔らかく、痛みは無い。

      「これはひょっとしたら、ヘルニアかな?」と思ったが、鼠径ヘルニアについて

     あまり詳しくは知らないので、外科の友人に診てもらう事にした。

      予想どうり、診断は 「鼠径ヘルニア」だった。

     腹腔前面には骨が無く、靱帯と筋肉に覆われていて、それらが弱ってくると

      その隙間から内臓が出てくる。鼠径部に出てくれば「鼠径ヘルニア」なのである。

     原因は老化や重量物を持ちすぎたりする事だという。

      私の場合、老化と重い物を使ったトレーニングの両方とも当てはまる。

    「鼠径部の筋肉を鍛えて、治せるかなあ?」とトレーニング好きの私の事を気遣って

      その友人は言ってくれたが、すぐに「そんなトレーニング聞いた事無いなあ。」

     と結論を出した。

      結局は手術をしなければならないらしい。

     手術には1週間ほど入院しなければならないとの事だったので、改めて日程を

        決めることにした。

      考えてみれば、私は今まで入院した事が無い。

         盲腸も骨折も経験がないのである。

      入院と考えただけで、退屈で死にそうな気がする。

     鼠径部の筋肉を鍛える方法があれば、是非やってみようと思うのだが

        こればっかりは難しいかな?

      

         
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by tramasato | 2011-07-07 15:10